【閑話】後編『ミクロ・マクロ・ネットワーク】で織る未来』サマリー

 これからしばらく、過去編をお休みして、しばらく後編の『【ミクロ・マクロ・ネットワーク】で織る未来』について書いていきます。三章、四章の実例では、筆写の専門分野のコンピュータネットワークサービスやコミュニケーションサービスについて例示します。

 

後編のサマリーです。

 

二章 【型・編】:未来を読み解く散策法

 「未来を読み解く」ための散策方法について記述します。


 前半のビッグヒストリーから一転して、「未来を読み解く」へとステージをうつします。商品開発では、「アイデアの創出」⇒「コンセプト整理」⇒「プロトタイプ開発」⇒「商品開発」⇒「商品販売」⇒「販売の継続」へとステップアップする毎にコストも期間もかかり、また周囲を巻き込みながら予算や人員を獲得してゆかなければならず、成功者となるのはごく一握りとなります。より良いものであるほど競合相手が同時に発生し、ステップを上がるにつれて選択と絞り込みが行われるということです。一方で、多くの人々は、初期の闘いに参戦せずに、成功者の後からニッチの領域で闘いをくりひろげています。後編の主題は、より先んじて「未来を読み解く」ことにより、より早く先頭を走る、もしくは未来の動向予測をふまえ先んじて準備・行動することにあります

 

 この方法を使えばすぐに「未来を読み解ける」わけでも、短期で解決する発想法を提示するわけでもない、地道な努力が前提となる。ある特定の分野に絞るのではなく、より広い視野で材料を集め、整理し、思考を組み立て、読み解くための方法について提案します。

 

2.1 ミクロ・マクロ・ネットワーク」モデル


 未来を読み解く際に利用する「ミクロ・マクロ・ネットワーク」モデルとは何かについて説明。個々のパーツを定義していくと面倒な感じになりますが、さらっと流してもらって、実際には臨機応変に適用することになります。使い方については、三章以降の実例で感覚をつかんでもらいます。

 

2.2 フィールドワークと情報編集


 実際にフィールドワーク(野外調査)をしてもいいですが、ここでは専門分野にこだわらない書籍などの散策もフィールドワークとしています。マクルーハンの時代(1986年)から書籍などの印刷情報爆発が指摘されていますが、インターネットの時代になって指数関数的に増大しています。国会図書館の所蔵数は4492点、書籍だけで1154万点、読み切れません。新規のアイデアや考え方と思っていても、大抵のことは先人の知恵として執筆されているわけです。研究でも、ビジネスでもそうですが、オリジナリティを追求するあまり、ともすると専門分野にとらわれ視野が狭くなりがち。先人の知恵である書籍には筆写の歴史がつまっており、書籍化することで世間の荒波にもまれている。これを活用しないのは時間の無駄。インターネットの時代である今日、ネット情報も併用しつつ先人の知恵=ヒューマンエンジンを使って、材料を集め、整理し、思考を組み立て、物語として読み解いていく編集方法を提案します。


 筆写が普段から実践してきた方法に近いものを書籍に求めると、ありますね、KJ法で有名な川喜田二郎の「発想法」、これを主軸にして、松岡正剛の「知の編集工学」、梅棹忠夫の「知的生産の技術」、外山滋比古の「思考の整理学」などを参考にまとめます。

 第三の推論法「アブダクション」や「非意識」・「暗黙知の活用」、「メタファー」や「アナロジー」なども組み込んでいく予定。

 

2.3 アイデアプロセッシングの道具


 かつてはカードにまとめる技法が情報編集を行うために便利でしたが、なんといっても全文検索で串刺しにできるコンピュータが便利。アイデアプロセッシングの道具としてコンピュータアプリケーション、携帯との連携を中心にどのようなものが必要となるかについて、要件と自分が使っている環境を紹介。筆写が使っていないアプリケーションについてもバリエーションとして紹介したいと考えています。

 

三章 【顧・紡】:1990年から観た未来

  ここでは、1990年代に考えて製品化、プロトタイプ、ジャストアイデアについてミクロ・マクロ・ネットワークとの対応を例示します。日本で初めてインターネットサービスプロバイダーがサービスを開始したのが1992年、インターネット利用が定着する以前から直後の話となります。


CardTerm with Mackun(シェアウェア)・1988

・情報オブジェクトとメタ情報(プリプロトタイプ)・1989

・リソース変化に適応する仮想巨大コンピュータ(ジャストアイデア)・1990

・自律分散するバーチャルオフィス(構想)・1992

・曖昧なヒトの要求を獲得して提案する(プリプロトタイプ)・1994

・モノとマネーを仮想化するゲーム環境(ジャストアイデア)・1995

・近くにいるヒトに気づきを与えるレコメンドエンジン(製品販売)・1995

・行動履歴プラットホーム(プロトタイプ)・1996

【閑話】情報空間を3次元に写像する・1999

 

四章 【活・織】:2020年から描く未来

 いよいよ現代から未来の読み解きにとりかかります。


4.1 計画されている「未来の種」


 10年後、30年後としてすでに計画されているものを紹介します。インターネットやAIのおかげで、SF的なものが全部できる気になっていて、結構沢山あるものをどうまとめるか悩みます。しかし、これをベースに次を考えなければいけないので。

 

4.2 コミュニケーション・インフレーション 

 -- 「知」の断片化がもたらすヒトの「未来」--


 未来を具体的に読み解いてみます。まだあまり考えていないけれどなんとかなるかな~と直感。超未来のゴールとしては、高野和明の「ジェノサイド」やテッド・チャン「あなたの人生の物語(映画:メッセージの原作)」のように複雑系を思考できるヒトの進化があるとして、そのための30年後ってどうなるのか?というのがあります。

 ここに入る前に、過去編で「神経と脳」「錯覚と推論」「資本主義」あたりにもどります。


五章 【環・綾】 螺旋:知の淵を渦巻く振り子


 螺旋というのは当初からタイトルだけおいてあります。最後に書いておかなければならないことがあるように直感するからです。暗黙知と形式知、ミクロとマクロ、非線形コンテンツの螺旋をグルグルと回します。

 

tag : フューチャーリテラシ, 複雑系, メディア, ミクロ・マクロ・ネットワーク ネットワーク, 未来, 技術

【閑話】:喩えて考える:「メタファー」と「アナロジー」

 ヒトは「未知」のものを発見したときに、足りない「語彙」を補うために「類似」を探し「喩え」により理解する。

 

●喩えるということ


 「未知の未来」を読み解く際に「喩え」は強力な道具となる。「フューチャー・リテラシー」は「未来」を読書に喩えてイメージする試みで、「ミクロ・マクロ・ネットワーク」モデルはメタファー構築のためのガイドライン(補助器具)前編は過去の物語を「イメージ」に落とし込むための読書だ。本書そのものが「喩え」でできている。

 

 「喩え」には、「アナロジー(類推・直喩)」「メタファー(暗喩)」があると考えたところで、ちょっとした迷路に迷い込んでしまったので整理。どちらも、じっと見つめすぎると焦点が合わなくなってくる。

 

●「アナロジー」で喩える


 「アナロジー」は直接喩えることで、「ABのように~だ」という具合に使う。ABの構成要素と対応関係が明確な場合に使い、よく私たちが使う「喩え」はアナロジーで、似たものどうしを見比べて、連想により考えを深める。例えば、電流と水流のアナロジーでは次のように対応づけられる。

 

【電流は水流のように流れる】

 A:水源、貯水、水流、水圧、水力、漏水

 B:電源、蓄電、電流、電圧、電力、漏電

 

 「アナロジー」の組み立てるときの思考を追うと次のようになる。

 

【アナロジー構築のステップ】[1]

 1.何かと何かが「似てる」と思う

 2.(似ているものの構造を)「借りてくる」

 3.(借りてきた構造を)「当てはめる」

 

 「似ている」と思うにも、「借りてくる」ためにもそれぞれの知識がベースとなる。「当てはめる」際に、すべての要素が具体的に対応づけられるときもあれば、一部だけ対応することもある。例えば、『植物が水を吸い上げる水流を電流に対応させると何になるだろう?』と連想を続けていくと対応関係がゆらぐ一方で「イメージ」がふくらみ、新しい発想を生み出すこともある。


●「メタファー」で喩える


 「メタファー」は暗喩であり「イメージ」との対応で喩える。「人生とは旅だ」という喩えで「旅」は具体的な何かをさすのではなく、「旅」にいだく「イメージ」を共有する。

 

【メタファーの種類】[2]

 1.発言の装飾としてのメタファー

  「人生とは旅だ」と言うとイメージが膨らんで含意があり、格好いいよねという言い回し。

 2.言語の先取りとしての不正確な思考形式としてのメタファー

  言葉=論理として意識する前に不確かなままに「イメージ」を膨らませておく考え方。

 3.絶対的メタファー

  「イメージ」のまま言葉=論理にもどさずに、思考を続けていく考え方。

 

 通常の言葉はすでに知っていることしか表現できない、アイデア発想のためには「言語の先取りとしてのメタファー」や「絶対的なメタファー」を飼い慣らすことが有効だ。「喩え」を道具として「未知の未来」を読み解くときに、「絶対的メタファー」のまま「イメージ」を膨らませ、言葉=論理におとして「実体」を与え、「メタファー」と「アナロジー」と「実体」とのあいだを行き来し散策しながら考えをまとめることで、飛躍的に発想を広げることができる。

 

●喩えの罠

 「喩え」に頼りすぎると、誤った解釈に陥る危険がある。「社会を進化」のメタファーとしてとらえることが人種差別を生んだり、「ソフトウェア開発を建築」のメタファーとしてとらえることが工数問題を生んだりするのはメタファーの誤用だとも言われている。「喩え」は論拠にはなり得ないので、あくまでも発想を展開するための道具として扱うようにしたい。


[1] 安藤昭子(2020), "才能をひらく編集工学 :世界の見方を変える10の思考法", Discover

[2] ハンス・ブルーメンベルク(2005), "世界の読解可能性", 山本尤, 伊藤秀一訳, 法政大学出版局

    - Hans Blumenverg(1981), "Die Lesbarkeit Der Welt", Suhrkamp Verlag



tag : フューチャーリテラシ, 複雑系, ネット, 未来, 脳, アイデア

「ミクロ・マクロ・ネットワーク」のリズムで「過去の物語」を読み解く

 前編(過去編)は、ミクロ・マクロ・ネットワーク」のリズムで未来を読み解く「イメージ」を構築できるよう、過去を物語りとして読み解きます。


●「ミクロ・マクロ・ネットワーク」のリズム


 過去・現在・未来を読み解き、物語の構築に使う道具がミクロ・マクロ・ネットワーク」モデルです。

 ミクロ・マクロ・ネットワーク」モデルとはどういうものでしょう。「細胞(ミクロ)」の動的ネットワークが集まって「人間(マクロ)」を構成し、「人間」のまわりには「地球環境」や「社会環境」などの「環境」があってその影響を受けて生活をしています。その「人間(ミクロ)」もまた動的ネットワークをつくって「社会、経済(マクロ)」を構成している。同様な視点で、原子、分子、生命、脳、メディア、社会、経済をとらえ直してみると、より小さいネットワークが「ベース(プラットフォーム)」となって、より大きなネットワークをつくって「複雑化」していく、そして次の「複雑化」のフェーズに入る直前に「大きなストレス」が溜って雪崩がおきるという「リズム」を繰り返していることが分かります。

ミクロ・マクロ・ネットワーク2

図1. ミクロ・マクロ・ネットワークのイメージ


ヒトネットワーク

図2.ヒト・ネットワークのイメージ


●「均衡状態」と「適応変化」


 「ミクロ・マクロ・ネットワーク」では、周囲の「環境」が大きく変化しネットワークに「ストレス」がかかると、最もエネルギーを少なく維持できる「均衡状態」となるよう「ネットワーク構造」を「適応変化」させます。一旦、「均衡状態」にネットワークが落ち着くとその状態を「記憶」し、わずかな環境変化ではネットワーク構造を変えない「維持する力(保守性)」が働くようになります。この「均衡状態」・「記憶」・「維持する力」⇒「大きなストレス」⇒「適応変化」が、「ミクロ・マクロ・ネットワーク」の「複雑化」の「リズム」を刻みます。

 恒星や超新星爆発での原子の誕生、生命進化、社会の構造変化、メディアとヒト(脳)の共進化などです。

 

●「プラットフォーム」の上に新たなネットワークをつくる


 環境変化の度合いによりますが、通常、一旦構築してしまった「ミクロ・ネットワーク」の状態を維持して「プラットフォーム」とし、それをプラットフォームとして「マクロ・ネットワーク」が「適応変化」する傾向があります。

 例えば、光合成生物が誕生して酸素が増えるという急激な「ストレス」がかかり、窒素などを呼吸していた嫌気性生物は猛毒の酸素に囲まれ絶滅の危機に瀕します。絶滅の直前にあった嫌気性生物は、呼吸によりエネルギーを得るという「プラットフォーム」を維持しつつ、酸素によりエネルギーを得る仕組みに細胞のネットワーク構造を「適応変化」させることにより新たな「均衡状態」をつくり、酸素により膨大なエネルギーを生産できるようになった生命が多細胞生物などのあらたな「複雑化」の道のりを歩むことになります。

 

●前編執筆にあたって


 前編では、過去の物語を「ミクロ・マクロ・ネットワーク」のモデルの視点で再編集することにより、

 ・「ミクロ・マクロ・ネットワーク」の営みを理解する

 ・「韻」・「リズム」を自分なりに体感する

ことを狙っています。脳内に未来を読み解くための「イメージ」を構築するためです。

 全部を読まなければ理解できないというわけではないので、気になったテーマについて参考書籍を深掘りし、広げてみるというのも良いかと思います。

 

 前編を執筆するにあたって同じリズムで理解するため、以下を執筆方針としています。

 ・縦横ネットワークを記述

 部分(ミクロ)の相互作用(コミュニケーション)、それによって生じたマクロな実体・事象、それを発生させた環境条件や環境変化(ストレス)について時間軸のシナリオ、それが次の時代に与える影響を記述。

 ・冗長な表現を避ける

 「~と思う、考える」「~と言われている」「~という仮説がある」といった表現を排除。

(大抵は、解明困難な事象をテーマにしているので、過去に遡るほど仮説の度合いが強くなる)

 ・独立したコンテンツ

 把握しやすいように時間軸に沿って記述するが、どの順序で読んでも良いように1000文字前後の単位で完結。


tag : フューチャーリテラシ, 複雑系, メディア, ネット, 未来, 社会, ミクロ・マクロ・ネットワーク

閑話休題:「メディアとヒトの誕生」つらつらと考える

 複雑系な話しをそのまま記述できて、そのまま理解してもらえればいいのだが、そうもいかない。n次元空間を2次元に投影する「ゲルニカ」さながらの日々。過去から現在に向けて直線で書いていると、方向性を見失うので、軸になる空間に碁の石を置くように書き進めている。

 で、調査もしないで放置していた「コンピュータの誕生からアランケイ」あたりを書いてみようと思い立ち、となるとメディア論あたりも整理しなきゃいけなくて、だとすると「活版印刷」と「西洋思想」あたりか、いやいや「言葉」ってそもそも、だとすると「ヒトが言葉を使うようになった経緯が」とたどることになったのが、今回の「ヒトの誕生」から「道具としての言葉」についてだった。「言葉」について語り出すと関係してくる「コミュニケーション」や「神経誕生から脳への進化」については別ルートで書くことにした。「脳」についてだって、「心の社会」や「思考のための道具」を読み返しておかないとコンピュータは語れないよなーと思いつつ。。。。。

 ヒトの誕生を探っていくと、「オルドヴァイ渓谷」という東アフリカの一箇所にヒトの祖先となるものたちが閉じ込められ、常にそこから類人猿たちが変異し旅立っていることに気づく。しかもそこは放射能にさらされ突然変異が起きやすい環境だった。これからも、いろいろなところに飛び火をしながら同じ韻をふみながらまとめることになるのだが、ここでも集中的に集められた実験場で、膨大な数の試行錯誤を繰り返して新たな複雑系を構築している。じゃあなぜ「オルドヴァイ渓谷」に閉じ込められるなんてはめになったのか?と当時の状況を調べてみると、地下マントルの上昇でアルプス山脈やらオルドヴァイ渓谷やら地質学的な異変が連続的に発生している時期だったこと、オルドヴァイ渓谷の火山爆発はリンなどの植物にとって豊富な栄養だったことなどが見えてくる。そこに我々の祖先は引き寄せられて、閉じ込められちゃったわけだ。地図を掲載しておいたけども周りを谷と火山に完全に囲まれてしまっている。つまり、ここから出てアフリカや中東、ヨーロッパに旅立って生き残るためには、相当に冒険精神とサバイバル能力にたけた進化をとげたものだけに限られるという強力な制約がかけられていたことになる。さて、この後、「ヒトは道具と共進化した」という仮説を検証しつつ、話しを進めることになる。チンパンジーだって道具を使う、じゃあヒトは何が違ったの?、加速度的な進化の原因は?と。仮説をたてて、書籍や論文を探して、仮説をたてなおしてという。未来を読み解くのと、過去を読み解くのはよく似ている。何かが発生するには、それにいたる原因、外部環境の変化や相互作用がある。幹となる仮説をもとに、周辺の仮説をたて、その時期の外部環境を調べ、書籍やネットに意見を求め、仮説を修正してたてなおして、ということを何度も繰り返す。

 よく、未来を読み解くのに、なぜこんな過去を掘り返すのかと意見をもらうのだが、過去の連鎖で続く未来を語るのに、過去を読み解いておかないと何も語れないというのが本書の主題。現在、ごくごくわずかな読者も離れてしまいそうな遠大な話に、今後ともおつきあいいただければ幸いです。

tag : フューチャーリテラシ, 複雑系, 未来, 人類誕生, メディア

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佐藤基

Author:佐藤基
『フューチャー・リテラシー -- 過去・現在・未来、複雑系の未来を読み解く』
を執筆中。

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