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未来創造につながる「過去」からの連鎖:ダイジェスト

 『フューチャー・リテラシー -- エントロピーに抗う相互作用の歴史からヒトの未来を読み解く --』という書籍執筆のための記事の

『前編:「相互作用」と「コミュニケーション」の歴史
一章 【範・縁】:「ミクロ・マクロ・ネットワーク」138億年』
のダイジェスト

「未来」を読み解くために、なぜ過去の歴史を読み解く必要があるのだろう。

1)「未来」は「過去」からの流れの上にある


未来を読み解くときには現在の注目する事象と変化があり、それが起きた要因は過去に、そしてそれが未来へとつながる。可能性の未来を読み解くには、それにつながる過去からの道筋を読み解くことが近道となる。

2)ネットワークの基本的なパターンをつかむ

物理は化学の、化学は生命の、生命は社会のネットワークを構築してプラットフォームとなり、プラットフォームの上に新たなネットワークを構築する傾向がある。

近年のインターネットも、それが普及する段階でWebページのネットワークが構築され、その上にSNSのネットワークが、さら暗号通貨やメタバースのネットワークが構築されようとている。

そうしたネットワークの構築には特定のパターンがあり、それを活用することが未来を読み解く近道となる。

本書では、このネットワークのパターンを「ミクロ・マクロ・ネットワーク」としてモデル化し、チェック項目として活用できるようにする。

3)メタファーとして使う

よく似たパターンが繰り返されるので過去の事象を「メタファー(隠喩、喩え)」として活用すると、突破口となるアイデアが浮かびやすくなる。

それでは、ヒトにいたる過去から現在をふりかえってみよう。

過去を振り返るときは環境の変化と相互作用に着目して、なぜこのときに起こる必要があるのかという視点で統合的にとらえることが肝心だ。

そして、相互作用(コミュニケーション)によるネットワークの構築と、それをベースとするあらたなネットワークの構築の繰り返しに注目する。


1.1 「宇宙」と「地球」の形成

「宇宙」と「地球」のネットワーク形成と相互作用は、「ミクロ・マクロ・ネットワーク」の基本的な特性を理解するのに役立つ。

宇宙創造における原子ネットワークの複雑化の繰り返しにより、周期表の元素が徐々につくられていく様子を概観しよう。

宇宙の歴史は、より軽い元素の相互作用による原子ネットワークへの記憶と、元素の集団がつくる圧力の変化、元素の創造の繰り返しとして描かれる。

●宇宙のネットワーク
4つの相互作用の均衡が宇宙をつくる
初めての元素の作り方
鉄までの元素の作り方
恒星の生と死の繰り返しのなかでつくられた豊富な元素


さまざまな元素が出そろうタイミングと場所で誕生した地球は、分子ネットワークの実験場となった。最初に岩石が集まり次に水が加わると、分子の相互作用が活性化して複雑な分子ネットワークの形成が加速する。

やがて高分子化合物が誕生すると、地球をより複雑なネットワーク循環システムへと変えていく。

●地球のネットワーク
元素に富んだ岩石惑星「地球」誕生(45億6000万年前)
分子生成の連鎖が、循環する地球システムをつった


1.2 「生命」、「脳」、「ヒト」

原初の異なる単細胞生物の集団が外部環境の変化に適応するためにつくった電子の市場が、神経ネットワークの発端となる。


脳の歴史を読み解くことは、未来に向けたテクノロジーと脳の共進化のロードマップを読み解くことにつながる。


単細胞のネットワークが絡み合って、多細胞の、臓器のネットワークを構築する。輝く大陸棚における軍拡競争がセンサーと神経回路ネットワークの共振化を加速して、環境変化に柔軟に適応する神経ネットワーク=脳を誕生させる。

●脳誕生への道
微生物のコミュニティ
メッセージ物質の相互作用ネットワークがヒトの身体をつくる
生物の実験場となったカンブリア爆発はなぜ起こったのか
五感と脳の共進化
コミュニケーションするサルへの脳進化


ヒトと文化、集団規模とコミュニケーション手段は相互に影響し合い、その複合的な共進化のサイクルがヒトを世界中に拡散し、さまざまな文明を誕生させる。


●文化との共進化への道
二足歩行という無謀な選択
残念な進化と脳の発達
脳と道具の共進化
集団、文化、ヒトの共進化


1.3 激動の波に適応する「社会・経済」


なぜ、産業革命があのタイミングで、イギリスで起こったのか?」という問いは、今起ころうとしている産業革命読み解くために役に立つ。


●国家の形成と産業革命
1万年前になぜ農耕民が誕生したのか
国家の形成に向けた、専門分業と集落間の生存競争
古代都市を循環させる貨幣情報ネットワーク
産業革命はなぜ18世紀にイギリスで始まったのか


★資本主義の閉塞が、新しい産業革命に向けたヒントとなる


●交通・通信インフラとグローバル交易の共進化
前編:古代~産業革命前
後編:産業革命~現代
経済危機に適応する資本主義社会

1.4 ヒトと共進化する「メディアとネットワーク」

 ジミーとベスが相互接続したDynabookで遊ぶ様子     
1972年、Alan Kay, A Personal Computer for Children of All Ages [picture of two kids sitting in the grass with Dynabooks] ©Alan Kay

★「声の言葉」から「書く言葉」「活版印刷」以降に起きた変化は、「文字を読まない」時代に何が起きるかのヒントとなる。


●「言葉」が変わると考え方も変わるということ
考えるってどういうこと?
「コミュニケーション」とともに進化する「言葉」
言葉使いとともに成長する「意識」

●社会と思考を激変させた「文字」
伝搬と記憶をアウトソースする文字
「文字」が古代社会を構築した

●研究は「文字」を書くことによってのみ成立する
「声の言葉」と「書く言葉」、哲学と数学の誕生
「書く言葉」で得たこと、失ったこと
活版印刷と近代的思考法の確立


★「正確な計算を行う機会」の時代に「知的生産のための道具」を生み出した人々の歴史は、未来の常識を生み出す先人たちの歩みだ。


●正確な計算を行う機械
苦悩の歯車コンピュータ
エジソンの光がコンピュータとヒトの未来を灯す

●知的生産のための道具
記憶の拡張装置Memex(メメックス)
ヒトとコンピュータの共生
MacとHyperCardが描いた小世界
【閑話】:ヒトと道具の共生って?メディア論おさらい


オンラインRPGにおけるヒトのふるまいは、未来のメタバース世界でのヒトのあり方のヒントとなる


 ●ヒトを魅了するゲームという仮想世界
 ・ロールプレイングゲームという仮想世界
 ・オンラインRPGという自由物語世界(1997年)

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未来を読み解く、おすすめの10冊

「フューチャー・リテラシー」では多くの参考書籍をもとに執筆してきたが、初学者のためにこれは読んでおいて欲しいという統合的な視点で書かれた書籍を紹介する。

 おすすめ 10冊: ①~⑩
 副読本  16冊: 1)~16)

近年は、多くの文字を読むことが苦痛な傾向にあるというのに、未来を読み解くためになぜ本を読む必要があるのだろう。

レオナルドダヴィンチになれとは言わないが、未来を読み解くためには統合学としての視点・視野が必要になる
なにより良書に出会うことができればヒトの考え方や言葉を借りることができ、思考や表現にかかる時間を大幅に短縮できる

未来のために書籍を読む必要:
1)基礎知識

 ヒトの未来のベースとなる基礎知識として、
 未来は、ヒトの脳、身体、社会形成(人文科学、歴史、経済、組織)の過去から現在の延長にある。
2)メタファー
 世界は、アーキタイプ(原型)・プロトタイプ(類型)・ステレオタイプ(典型)に満ちあふれている。発明や創造にメタファーが有効なのは、原初から繰り返される構造があるから。
3)探索・散策・探求
 ある程度、基本的な書籍を押さえておくと、しだいに自分の求めるものがわかってくる。そうなればしめたもので、内なる欲求に従って広く探査・散策・探究を進めればいい。

ゼロから探すのは大変だ。推薦書籍をきっかけとして、幅広い視点と統合的な視点を得て、未来を読み解いただければと思う。

1.総合

⓵「知の編集工学」、松岡正剛

(松岡正剛(2001), "知の編集工学", 朝日文庫)

「フューチャー・リテラシー」必読書、本書全般にわたる参考書

・編集とは「該当する対象の情報をよみとき、それを新たな意匠で再生するもの」
・対象は、映画や書籍やニュースだけではない、企画書、営業報告書、イベント、都市計画、政策、料理、プログラミング、ラグビー、子育てなど、ヒトがかかわる知的創造全般にかかわる行為を「知の編集工学」として語る。
・我々が情報の未来を読み解く際に、分節、関係、再編集をどのように扱っていくのかと思索するときのヒントが満載されている。

副読本:
1)「複雑系を超えて :システムを永久進化させる9つの法則
」、ケヴィン・ケリー(1999)

ケヴィン・ケリーの原点。複雑系の入門書。


2)Webページ:松岡正剛の千夜千冊 

未来を読み解こうと検索していると、結局ここにもどってくる
本を探す際におおいに活用
テーマ毎に書籍化されている

3)「ネットワーク組織論」、今井賢一, 金子郁容(1988)

「ミクロ・マクロ・ネットワーク」モデルの原点
古い本だが、複雑系をふまえた未来につながる組織論の基礎がここにある「ティール組織」を読むよりまず本書


2.歴史総合

②「ビッグヒストリー」、デヴィッド・クリスチャン

(デヴィッド・クリスチャン, シンシア・ストークス, ブラウン、クレイグ・ベンジャミン(2016), "ビッグヒストリー --われわれはどこから来て、どこへ行くのか--", 長沼毅日本語版監修, 石井克弥,竹田純子, 中川泉訳, 明石書店)

「フューチャー・リテラシー」必携参考書!

・宇宙創生から2010年、そして未来まで。百科事典サイズで、全400ページにわたる壮大な歴史書
・各章の最初はいくつかの問いから始まる
 - 都市とは何か?国家とは何か?農耕文明とは何か?
 - 都市が生まれるためには、どのような技術の進歩が必要だったのか?
点通り一辺倒の教科書的なものではなく、統合的な視点で最新の情報をもとにした著者たちの考察がふんだんに盛り込まれている。
例えば、
「農耕民が誕生したのは、狩猟採集民が豊かな狩猟採集生活という『定住化の罠』にとらわれたから。」

副読本:
1)「情報の歴史21 :象形文字から仮想現実まで」、松岡正剛監修、編集工学研究所&イシス編集学校(2021)

「フューチャー・リテラシー」必携書、一家に一冊!

7000万年前から2020年までの人類史、世界史、宗教、政治、経済、科学、芸術などを網羅してトピックを縦横に整理した統合年表
歴史をひもとくときに、同時に何がおきているのかを世界の東西にわたり確認するために必須


3.生命

③「地球と生命の誕生と進化」、丸山茂樹

(丸山茂樹(2020),"最新 地球と生命の誕生と進化:[全地球史アトラス]ガイドブック", 清水書院)

生命、進化、地質学、宇宙をクロスオーバーさせて、生命の謎を解き明かす!

 統合的視点で生命誕生、大量絶滅、進化の歴史を読み解く

地球誕生~地球消滅までのCG映像

副読本:
2)「生命、エネルギー、進化」、ニック・レーン(2016) 

生命エネルギー生成の仕組みから、生命誕生の場所と方法を読み解く



3)「星屑から生まれた世界 進化と元素をめぐる生命38億年史」、ベンジャミン・マクファーランド(2017)

生命誕生も、生命進化も化学的な限られた選択肢の中から発生する
周期表をもとに、なぜその元素が利用されるのかを解説


4.脳

④「進化の以外な順序」、アントニオ・ダマシオ

(アントニオ・ダマシオ(2019), "進化の意外な順序", 高橋洋訳, 白揚社)

ヒトの「感情」「思考」の仕組みを読み解く

ソマティック・マーカー仮説の神経学者
感情の役割、イメージ形成から言語化・理解、原始生命から神経形成についての独自の見解が面白く、ネットワーク社会におけるヒトの脳のアウトソースについて考える際に参考になる

 
副読本:
4)「脳の誕生 :発生・発達・進化の謎を解く」、大隈典子(2017)

脳の発生、進化、誕生を分かり易く解説

5)「ぜんぶわかる 脳の事典」、坂井建夫, 久光正監修(2011)

脳内の名称がわからなくなったらこれ。脳の仕組みが分かり易く解説されている


5.人文社会科学

⑤「銃・病原菌・鉄」、ジャレド・ダイアモンド

(ジャレド・ダイアモンド(2000), "銃・病原菌・鉄",倉骨彰訳 , 草思社)
世界中の人類史観を変えた必読書。統合視点の入門書。

・地理、食料、家畜と病原菌、文字、部族から国家の形成、なぜ中国ではなくヨーロッパが主導権を握ったかなど、総合的な視点から人類史を分析
・原初生活を残す原住民の観察をふまえ、
・ヨーロッパ人が優位となったのは、ユーラシア大陸が生産性の高い穀物と家畜に恵まれて人口が増加し、地理的に東西に広がるため多種の文化の相互作用により洗練し、激しい競争(=戦争)が繰り返されたから
・コミュニケーションする集団が大きいというのはそれだけで有利
・そして、古くから家畜とすごしていたため病原菌に耐性があり、特にアメリカ侵略において病原菌を武器として勝利した


副読本:
6)「世界史のなかの産業革命 :資源・人的資本・グローバル経済」、R.C.アレン(2017)

蒸気機関が発明されたから産業革命が起きた?そんなわけがない
資本主義、技術の発展が産業革命を契機とするならば、それがなぜこのタイミングでイギリスで起きたのかを広い視野で知る必要がある


⑥「文化がヒトを進化させた」、ジョセフ・ヘンリック

(ジョセフ・ヘンリック(2019), "文化がヒトを進化させた :人類の繁栄と<文化-遺伝子革命>", 今西康子, 白揚社)

ヒトと文化、集団とコミュニケーションの絡み合う共進化が、過去・現代・未来の歴史をつくる

マクルーハンのメディア論、ドーキンスの利己的な遺伝子におけるミーム(文化遺伝子)を包括
文化の対象:道具、技術、知識、ノウハウ、社会習慣・規範、宗教、芸術
ヒトが文化を形成・維持するためには、「集団の規模」「結びつきの強さ=集団のコミュニケーション能力」が必要条件となる


副読本:
7)「グーテンベルクの銀河系
 :哲学人間の形成」、M.マクルーハン(1986)

未来を考えるための必読書
「文化がヒトを進化させた」に続いて読んで欲しい
ヒトとメディアは共進化する、
活字人間、視聴覚人間、新しいメディアがヒトの思考を変え、新しいメディアが古いメディアを衰退させる、ヒトの書籍離れを予言


8)「声の文化と文字の文化」、ウォルター・J・オング(1991)

マクルーハンを読んだら、これ!。そして、「ネットバカ」、ニコラス・G・カーへと続く
ヒトの思考の変化を追って未来を考えるためには、「文化がヒト~」、「グーテンベルク~」、「声の~」は読んでおく必要がある

可能ならば「身振りと言葉」、アンドレ・ルロワ=グーラン(1973)まで読み進めて欲しい


6.経済

⑦「やさしい経済学 :しくみがわかる」、池上彰

(池上彰(2013), "やさしい経済学1 :しくみがわかる", 日本経済新聞出版社)
(池上彰(2013), "やさしい経済学2 :ニュースがわかる", 日本経済新聞出版社)

丁寧に優しく正しく経済の歴史を読み解ける

経済学の初心者が教科書を読んでも何も得られない。かといって「富国論」や「資本論」をいきなり読んでも、何のことやらと思ったらこれ
1と2があるが両方読んでもたいした時間はかからない
アダム・スミス、マルクス、ケインズ、フリードマンを中心に経済学の歴史から学び、世界恐慌やバブルなど現代に続く歴史を概観する


副読本:
9)高校生からわかる「資本論」、池上彰(2017)

「やさしい経済学」をよんだら本書も目を通しておこう

10)「要約 ケインズ 雇用と利子とお金の一般理論」、山形浩生(2011)

巻末の経済史の読み解きが軽快で面白い
もちろん、読みにくい「一般理論」の概要も把握できる

11)「世界経済 大いなる収斂 :ITがもたらす新次元のグローバリゼーション」、リチャード・ボールドウィン(2018)

未来の社会を考えるときに、グローバル経済のおかれている状況について知っておきたい


7.アイデア・プロセッシング

⑧「発想法」、川喜多二郎

(川喜多二郎(1976), "発想法 改版 -- 創造性開発のために --", 中央公論新社)

野外科学のためのアイデアの整理法、KJ法はここから生まれた

KJ法で知られる川喜多二郎、僕らの知っているKJ法はほんのサブセットだ
筆者自身の野外観察の体験から、ありのままの自然を観察して得た情報を集め、整理・分類・保存、要約化、統合化、物語化について丁寧に解説

副読本:
12)「知的生産の技術」、梅棹忠夫(1969)

脳のアウトソースに関するカード整理の記述がいい
知的生産にからめた作者の考えの雑記、いろいろと示唆にとんでいる
手帳、カード、切り抜き、整理、読書、原稿、文章など多岐にわたる
自分なりの思考スタイルを獲得するために読んでおくといい


13)「思考の整理学」、外山滋比古(1986)

「知のエディターシップ」を軸とする、アイデア整理の基本3冊目
エッセイ本のような軽快な流れの中で、思考の整理について示唆に富む
「情報の"メタ"化」など現代・未来についてのヒントももらえる


8.読書法

⑨「本を読む本」、M.J.アドラー, C.V.ドーレン

(M.J.アドラー, C.V.ドーレン(1997), "本を読む本", 外山滋比古, 槇未知子訳, 講談社)

本読みの指南書

「読み方学習の諸段階、組織的な拾いよみ、読書の速度、目のうごき」に始まり、点検読書、分析読書、同一主題について二冊以上読む読書(これが実は難題)
世にある膨大な本を前にして、いかににし探し、効率的に深く読むか
読書に慣れ親しんでいる人をも唸らせる良書


副読本:

14)「探求型読書」、編集工学研究(2020)

本読みをプロセスとして整理
読前、読中、読後に分けることにより、効率よく内容を把握して読みすすめられる
少し訓練が必要だ


9.計画されている未来

⑩「未来創造の白地図」、川口信明

(川口信明(2020), "2060 未来創造の白地図 :人類史上最高にエキサイティングな冒険が始まる", 技術評論社)

計画されている未来本はこれ一冊でいい

実際の企業やスタートアップの事例がふんだんに盛り込まれている


副読本:

15)「インターネットの次にくるもの」、ケヴィン・ケリー(2016)

「フューチャー・リテラシー」につながる未来読解者にして、『Wired』誌の創刊編集長ケヴィン・ケリー
未来を12の視点で整理する、未来整理の手本
(BECOMING、COGNIFYING、FLOWING、SCREENING、ACCESSING、SHARING、FILTERING、REMIXING、INTERACTING、TRACKING、QUESTIONING、BEGINING) 

続けて、テクノロジーを複雑系ネットワークとしてとらえる「テクニウム」も読んでおきたい。


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「宇宙エレベータ」から観る未来2050

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そして未来を織り続ける

「フューチャー・リテラシー」最終章

「未来を読み解く」際に重視している視点が3つある。

1)「ミクロ・マクロ・ネットワーク」の視点

 主にアイデア編集やコンセプト編集を行う際のチェックリストとして利用する。特に、フィードバックループ、動的適応の特性が出現するネットワークに注目する。

2)「ヒトと文化、集団とコミュニケーションの共進化」
の視点

 ヒトがヒトとして進化してきたのは、外界に適応する文化を集団内に記憶する能力によるところが大きい。時代を変える新しい技術・サービスは、集団の規模を大きくするか、コミュニケーション能力を拡張するかに関わっている。コミュニケーションは、ただ広がるだけでは情報過多におちいってしまう。「新しい文化を生み出すために必要な情報交換を活性化しているか?」という視点が重要だ

3)「振り子」の視点

 本書では、もう一つの視点を暗黙に使っている。

 エントロピーの拡散にあらがって動的平衡状態でバランスをとる際に、「ゆきつもどりつ」というダンスが描かれる。

ミクロ・マクロの「振り子」:
 「振り子」は左右に振れながら、かつ同時に存在して動的平衡のバランスをとる。我々は、振り子の一方に注力しているときにもう一方を同時に見ることができない。注力して観すぎると、同時に存在しているようにも見えてくる。現在や未来に注目するときに、片側により過ぎているときには、もう片側を意識する必要がある。一度、遠目に見てもいいし、逆に拡大してみてもいい。

複数の振り子が交差する。

「たまたま」には「必然」が隠され、「必然」には「たまたま」が隠されている。

集中 ⇔ 分散
集権 ⇔ 分権
静的 ⇔ 動的
安定 ⇔ 不安定
トップダウン ⇔ ボトムアップ
線形 ⇔ 非線形
論理的 ⇔ 直感的、感覚的
論理 ⇔ アート
デジタル ⇔ アナログ
クローズ ⇔ オープン
形式知 ⇔ 暗黙知
正確 ⇔ 柔軟
部分 ⇔ 全体
自己言及 ⇔ 再組織化
部分最適 ⇔ 全体最適
個人主義 ⇔ 全体主義
資本主義 ⇔ 共産主義
ミクロ ⇔ マクロ
個人 ⇔ 社会
本書 ⇔ 参考書籍
歴史の横線 ⇔ 縦線
過去 ⇔ 未来
たまたま ⇔ 必然
遠目 ⇔ 近目
ウの目 ⇔ タカの目
分けつ、つつなぎ ⇔ つなぎつ、分ける
寄せては返す
行ったり来たり
かえすがえす
表裏一体


無数のN次の振り子が、ミクロネットワークを織り、それを下地として新たなネットワークを織り続ける。

宇宙は物理の模様を織り込み、地球は化学の、生命は遺伝子の、ヒトは文化の模様をとどまることなく創意工夫しながら無限のトキを織り続けてゆく。

参考書籍:

[1] 松岡正剛(2001), "知の編集工学", 朝日文庫


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2020年から描く30年の未来 :ダイジェスト

 『フューチャー・リテラシー -- エントロピーに抗う相互作用の歴史からヒトの未来を読み解く --』という書籍執筆のための記事の
四章【活・織】:2020年から描く30年後の未来」のダイジェスト。

本書は、「未来を読み解いて、コンセプト編集を行う」方法を提案することが主題。
本節では、30年後の未来を読み解きコンセプト・サンプルを提案する。

企業のネットが星を被い、電子や光が駆け巡っても
国家や民族が消えてなくなる程
情報化されていない近未来

志朗正宗「攻殻機動隊:THE GHOST IN THE SHELL(1991)」より

4.1 計画されている30年後の「未来の種」

 各所で計画されている「未来の種」について紹介。
(4.2節で未来を読み解くための前提・背景として整理。計画されている未来は、現状の延長線で比較的容易に描くことができる。)

現実世界にあるすべてのヒト、場所、モノをデジタル世界=デジタルツイン(デジタルの双子)に投影するミラーワールドでは、合わせ鏡のように現実世界とデジタルツインが相互作用し、爆発的なスピードで共進化を繰り返す。  

ミラーワールドとサービスネットワーク

4.1.2 計画されている未来サービス2050

ヒト、クルマ、ロボット、都市、家、工場、産業がミラーワールドに組み込まれていく。計画されている未来サービスの例を示し、それがもたらす変化を概観する。

4.1.3 ミラーワールドをけん引するメディア
:スマートグラス

当初は、ごくわずかな利用者しか注目せず、周囲のほとんどの人たちにはなぜそれを欲しがるのか理解できない。ところが一旦普及すると、手足と同じように手放せない存在となる

そして、

  「未来を変えるヒントは必ず今ここにある」 


4.2 コミュニケーション・インフレーション 
 -- 「知」の断片化がもたらすヒトの「未来」--

『前編:
「相互作用」と「コミュニケーション」の歴史
一章 【範・縁】:「ミクロ・マクロ・ネットワーク」138億年』
を基礎知識として

『二章 【型・編】:未来を読み解く散策法』
を活用して、
30年後の未来を読み解き、コンセプト・サンプルを構築する。

未来を読み解く際に、特に活用しているのが次の2つ。

 文化とヒト、集団規模とコミュニケーションの相互作用が編む共進化のサイクルが集団に優位な文化をうみ、集団の規模を拡大し、新しい文化の創造がコミュニケーション能力を高め、文化とヒトの共進化を加速する。相互に「依存」し「促進」しあう、集団規模・コミュニケーション能力、文化、ヒトの共進化サイクルが驚異的なスピードで加速する。

誤解をおそれずに単純化すると、
『集団の規模を大きくしてコミュニケーションを活性化すると、ヒトが進化して新たらしい文化が生まれる。その逆も真。』ということ。

近年は、ヒトの遺伝子による進化よりも、文化の記憶=文化遺伝子(ミーム)によるヒトの進化が顕著。

文化の対象: 道具、技術、知識、ノウハウ、社会習慣・規範、宗教、芸術

「ミクロ・マクロ・ネットワーク」モデルは、アイデアやコンセプトを構築する際のチェックリストとして利用。

4.2.1 課題設定
:情報世界におけるヒトと文化の共進化

まずは、最初の課題設定。
「情報世界」を産業構造にみたて、「情報世界」におけるコミュニケーションを活性化させるための課題を設定。

課題1:
ヒトの連想記憶をメタファーとして、「情報世界」におけるヒトのコミュニケーション能力(=情報探索能力)をたかめる道具(情報流通サービス)を提案する。

4.2.2 連想探索を支援する
:コネクティブ・ブレイン

 4.2.1 の「課題」からスタートして、ミンスキーの連想記憶のモデル(知識のライン)を参考に、アイデアを言葉(ネームとクレーム)で表現。

・ネーム(呼称): コネクティブ・ブレイン
・クレーム(短文): 
 「情報世界」におけるヒトたちの営みにより変化するコンテンツ間のつながり=連想記憶と、それが描く巨大な脳をヒトの情報探索に活用する。

続いて『コネクティブ・ブレイン』コンセプトを提案し、製品を具体化するためのヒントを記載。

『連想探索を支援する コネクティブ・ブレイン』コンセプト:
 複数のヒトの連続するコンテンツ閲覧を「コンテンツ間のつながり=知識ライン」として記憶し、知識ラインをたどる間接的なコミュニケーション=連想による情報探索を可能とする情報流通サービス。

4.2.3 課題設定:次世代の思考を支援する

 2番目の課題設定。インターネット、SNSが普及した現代、長い文章を読めなくなり、深く思考ができなくなったことに注目。ヒトの未来の思考は「時分割マルチタスク思考」へと向かっていると仮定し、

時分割マルチタスク思考:
 『コンテンツを分節・断片化して時分割マルチタスクで瞬時に情報を判断・選別して記憶し、同時並行的に切り替えながら、ごく短時間の非線形な論理を働かせて思考する』

新しい時代のヒトの思考法とコミュニケーションを支援する道具を課題として設定。

課題2:
○メタコンテンツ編集環境

 分節・断片化と統合・編集を時分割で繰り返す時分割マルチタスク思考を支援する「メタコンテンツ編集環境」を提案する。

○メタコンテンツの単位コンテンツ
 「メタコンテンツ編集環境」の前提となる、扱いやすい「単位コンテンツ」を提案する。

4.2.4 非線形思考を描く筆とパレット:メタプロセッシング

4.2.3 の「課題」からスタートして、『ヒトの思考の組み立て方』モデルを参考に、コンテンツの分節・断片化を標準化する情報単位として情報ブロックを定義して、

情報ブロック:
・デジタルネイティブにとって、集中して作成、閲覧できる情報量のコンテンツの単位

・コンテンツとして意味をなす程度に分節・分断化する
 - 1段落のテキスト
 - 1カットの図、挿絵、動画
 - 1フレーズの音楽

アイデアを言葉(ネームとクレーム)で表現。

ネーム(呼称): メタプロセッシング
クレーム(短文):
 ヒトの分節・断片化と統合・編集による非線形な時分割マルチタスク思考を、情報ブロックを単位とするメタコンテンツ編集手段としてアウトソースする。

続いて『メタプロセッシング』コンセプトを提案し、製品を具体化するためのヒントを記載。

『情報ブロック編集を支援する メタプロセッシング』コンセプト:
情報ブロックを単位として作成された既存のコンテンツから使える情報ブロックを借用して修正、自身の情報ブロックを追加しつつ「分節・断片化」と「統合・編集」を繰り返しながら新たなメタコンテンツを作成することを支援する情報流通サービス。

4.2.5 「仮想世界経済」の誕生

「課題設定」「アイデア編集」「コンセプト編集」というアイデアプロセッシングの手順を崩して、直感により設定した課題(仮説)にいたる物語を紡いでみる。

課題(仮説)設定:
「仮想世界」の経済コミュニケーションを循環させる

資本主義社会による低賃金化と低コスト化は「リアル世界」を消費低迷へと導き、メタネイティブたちによる、

 『生きがいや、レクレーションや、贅沢は「仮想世界」で!』
というライフスタイルが誕生する。

メタネイティブたちによる「仮想世界」経済とはどのようなものになるのか?

4.2.6「仮想世界」経済から「マルチバース」経済循環へ

●「仮想世界」経済

 ヒトは欲求の充足を求めて働き、遊び、行動する。「仮想世界」は衣食住と分離した欲求充足世界であり、自己実現と承認、娯楽を利益として求めて生活する。

「仮想世界」の住人は、希少性や芸術性、娯楽や実験環境、労働力の価値をトークンに翻訳して循環させる。

●「マルチバース世界
 (リアル世界、情報世界、仮想世界)」経済

 「リアル世界」、「情報世界」、「仮想世界」の中に小世界が重ねられ「マルチバース世界」となり、ヒトは時分割で世界にまたがって存在してゆく。

「マルチバース世界」経済圏では、ヒトの有限時間の獲得にこそ価値がある。

「マルチバース世界」では、「リアル世界」の国家貨幣も、「情報世界」のアクセス数や評価も、「仮想世界」が発行したトークンも欲求充足度=共通トークンに翻訳して流通し、マルチバース世界や個人の仕組みや行動を調整する「欲求充足経済」を展開する。

欲求充足経済:
 「マルチバース世界」にまたがり、欲求充足の全体最適を求めて多元世界の経済が絡み合い、主従を変え、経済ネットワークを多重にはりめぐらし、その形を変え続ける多重動的経済。

 2021年、ヒトは交通と通信のインフラの発展により物理空間の距離を超えてコミュニケーションすることにより、グローバルな文化を形成した。

 2050年、ヒトは自身の興味によって「マルチバース世界」を切り替えて時分割マルチタスクでコミュニケーションすることにより所属する集団を多元世界へと広げ、「欲求充足経済」による新たな文化とヒトの共進化を加速する。


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「仮想世界」経済から「マルチバース」経済循環へ

-- 30年後の未来を読み解く第三弾 :物語を紡ぐ(物語編) --

●「仮想世界」のエコノミー

 ゲームやクリエイター、eスポーツのための「仮想世界」のインタフェースが、スマホやPC、ゲーム機に代わるとき、仕事と生活を時分割マルチタスクで「仮想世界」に配分する人たちが登場する。労働、スポーツ、会話、観劇、クリエイティブ、ゲーム、リアルでの活動が「仮想世界」に移行していく。

○ミクロ・マクロ・ネットワークで表現する

前提:
・複数の「仮想世界」プラットフォームが競争する
・技術やサービスのオープン化、経済行為のすべてが参照可能な「仮想世界」が優位となる
・芸術性や希少性、ヒトの有限時間に価値がある
・ヒトは、生きがいと娯楽を求めて「仮想世界」で生活する

■構成要素:
ミクロ: 
ヒト、モノ(商品・サービス・トークン)
経済的コミュニケーション: 「仮想世界」におけるモノの生産、モノ・トークンの交換
マクロ: 個々の「仮想世界」、「仮想世界」で生産者を雇用する企業
メタ・ネットワーク: 「仮想世界」間および「仮想世界」内外の企業間でのトークンの流通、モノの交換
環境: ヒトが暮らす質量のある「リアル世界」、質量のない「情報世界」と「仮想世界」
技術・社会背景: 
・低賃金化と衣食住の低コスト化の波が、若者たちを「仮想世界」での欲求充足へと誘う
・スマホのように気軽に扱えるスマートグラスが一般化
・大量の取引を扱う暗号通貨(仮想通貨)がトークンとモノの価値を保障
・多人数参加のライフ・ワーク・ゲームを扱うメタバースプラットフォームがオープンソースで公開
・多数の「仮想環境」と「仮想環境」内企業が存在し、時分割マルチタスクで選択的に利用できる

■ネットワークの特性:
多次元性・多重所属:
 ヒトは自身の有限時間を複数の「仮想世界」に多重帰属して割り当てて生活し、生産し、交換する
適応・動的特性: 
 ヒトが暮らす環境の変化や興味の変化に適応して「仮想世界」への割り当て時間を変更する。例えば、衣食住の充足状況により、欲求を満たすものを求めて「仮想世界」において生産し、購買する
 複数の「仮想世界」、「仮想世界」内外の企業、個人が競合することによる新陳代謝が発生し、経済システムも成長する
可塑性と学習:
 「仮想世界」に暮らす住人の経済的コミュニケーションの履歴が蓄積されて公開される
フィードバック・ループ:
 技術・サービスのオープン化、経済的コミュニケーションの記録の公開により、企業、生活、労働、経済行為の間でのフィードバックループが形成される。
※より閉鎖的な「仮想世界」は変化に乏しく淘汰され、よりオープンな「仮想世界」はフィードバックループにより活性化して魅力と競争力を高速に上昇させる
恒常性・保守性:
 
よりオープンな経済構造をもつ「仮想世界」は変化が激しく安定状況を維持しようとする力が働く、技術・サービスのオープン化、経済的コミュニケーションの記録の抑制もその一つ

○仮想世界での欲求と価値

 ヒトは欲求の充足を求めて働き、遊び、行動する。「仮想世界」は衣食住と分離した欲求充足世界であり、自己実現と承認、娯楽(幻想、競争、運、模倣、知識・技能習得、収集)を利益として求めて生活する。

「仮想世界」における主な価値:
・希少性、芸術性を求めて収集する価値
 - 絵画、イラスト、動画、顔、衣服、置物、カード、演劇、音楽など
・ヒトの有限時間に還元される価値
 - 時間を費やす価値のある娯楽・コミュニケーションサービス
 - ヒトによる作業、労働
 - 自動化による時間の短縮、作業の代替
・サーバー能力に還元される価値
 - 処理負荷の高いイベントやアトラクション環境
 - 物理・化学実験などの研究・シミュレーション環境
 - 表現範囲=土地


●「仮想世界」の経済

 「仮想世界」の中で最も価値のある資源はヒトの有限時間だ。ヒトは、自身の求める欲求を獲得できる「仮想世界」を選び、より多くの時間を消費する。

 「仮想世界」の住人は、希少性や芸術性、娯楽や実験環境、労働力の価値をトークンに翻訳して循環させる。

 仮想世界の労働力は、「仮想世界」内での大小、巨大ビジネスを立ち上げて、「仮想世界」内に独自の価値流通ネットワークを構築する。「仮想世界」の住人は、自身の欲求充足のために自身の有限時間をトークンと交換し価値を獲得する。

 「仮想世界」の取引の蓄積と公開、仕組みのオープン化とAPI化が、「仮想世界」経済のフィードバックループを加速する。トッププレイヤーの業績が高速に交換される「仮想世界」は、その仕組みも含めて高速に新陳代謝して成長するため、無数に台頭する「仮想世界」との生存競争で選択されて生き残る。

 「仮想世界」内の企業は、魅力のある新たな価値を提供し続ける必要に迫られる。「リアル世界」の企業のように、特定のサービスや技術を囲い込んでいる余裕はない。

 サービスも技術もすべてがプラットフォームに組み込まれ、ゼロベースの競争が繰り返される。企業と労働者は安定を目指すのではなく、アーティストのように常に評価されクリエイトするサイクルを回し続ける。「リアル」「情報」「仮想」すべての外部環境の変化に適応する高速で動的な循環が、適応変化を加速して常に新しいものを求め、供給し続ける。

 拡張された仮想通貨の仕組みが、「仮想世界」内におけるトークンと価値の複製を管理して保障する。やがて、共通仮想通貨を翻訳装置とする「仮想世界」間での価値交換がはじまる。


●マルチバース世界での経済循環

 「仮想世界」間でのヒトの有限時間獲得競争は、同時に「リアル世界」、「情報世界」「仮想世界」を巻き込んだ「マルチバース世界」での経済圏へと広がってゆく。

〇マルチバース世界で生活する

 リアルもその一つとなる

 「情報世界」や「仮想世界」を「リアル世界」に存在する機器や経済をベースにして成立するサービスとしてとらえる時代が終わる。生活や仕事の主体が「仮想世界」や「情報世界」に徐々に移行していく。

 アナログとデジタル、線形と非線形、現実と仮想が混じり合い、すべてが現実となる。そこには音があり、映像があり、情報がある。ヒトが存在し、脳が知覚して認識するものが世界となる。

 「リアル世界」、「情報世界」、「仮想世界」の中に小世界が重ねられ「マルチバース世界」となり、ヒトは時分割で世界にまたがって存在してゆく。

 「リアル世界」の生活は「情報世界」のコンテンツにパッケージ化されつながれ、「情報世界」のコンテンツをリバースしてイメージ化した「仮想世界」を通して知覚、意識する。マルチバースにおける自身の居場所の位置感覚、方向感覚、連携のためのテクノロジーやサービスが提供される。

 「仮想世界」での経済循環とライフスタイルの変化が、マルチバース世界(=「リアル世界」「情報世界」「仮想世界」)での経済圏を構築する。

〇マルチバース世界にまたがる企業と労働者

 時分割マルチタスキングの波が、オフィスに押しよせる。かつての月毎のバッチ処理から、日毎へ、そしてリアルタイムに業務を分断する。より優秀なエリートは断片化した複数の業務を瞬時に判断し、多くの割り込み処理を高速に処理して、24時間に断片化した世界中のヒトとプロセスを統合・編集するプロジェクトを運用する

 グローバル化した優秀な人材を時分割で雇用して統合・編集した企業が勝ち残る。ある業務に特化したモノや、短時間集中で生産性の高いモノ、能力は低くても物量で集約するモノなど質と量の異なる多種多様なキャラクターを集約・編集する。AIのサポートを受けて業務を分節・断片化し、複数の労働者の時分割労働単位を編集して割り当てながら進行するための自由度とスピードを求めて、マルチバース(リアル世界、情報世界、仮想世界)にまたがって業務プラットフォームを構築してタスクを動かす企業が台頭する

 ヒトの時間をマルチバース世界(=「リアル世界」「情報世界」「仮想世界」)に時分割で割り振って生活するワークグスタイルが生まれる。

 マルチバースを横断する複数の企業・チームに所属してその時々で仕事を選び、時分割で業務を進めて収入を得る。

 あるものは「リアル世界」で複数の企業に在籍して24時間を時分割で仕事に割り振り、あるものはベーシックインカムで衣食住をまかないながら複数の「仮想世界」でクリエイトして、娯楽に興じる。

 ある期間は集中的に12時間のマルチタスクをこなし、ある期間は数時間程度の仕事でプライベートを充実させる。ストレスの強い仕事と弱い仕事をバランスするなど、個人で自由に仕事と生活を編集するライフタイルが日常化する。

〇モノがマルチバース世界を横断する

 モノがリアルと情報と仮想を行き来する

 今あるように、「仮想世界」で「リアル世界」のモノを買ったり、「リアル世界」から「仮想世界」のものを買うなどのクロスで購入する行為は普通に発生する。

 さらに、モノの所有がクロスオーバーする。

・「仮想世界」で所有する衣服を「情報世界」の型紙や画像に変換し、「リアル世界」で3Dプリントして着用する。
・「情報世界」で購入した絵画を「リアル世界」と「仮想世界」の自宅に飾る。
・「仮想世界」での演目を「情報世界」の動画として公開し、「リアル世界」でリメイクして公演する。

 機器や家具、アバターも同様だ。

 マルチバース世界でのモノの所有の境界が希薄になっていく。

〇欲求充足経済ネットワーク

 マネーは、ヒトの集団がつくりだした幻想であり、異なる価値を翻訳する共通言語だ。

 衣食住の充足した「マルチバース世界」では、ヒトの有限時間に価値がある。

   ヒトはそれぞれの欲求充足度により「マルチバース世界」を選択して、時分割マルチタスクで有限時間を割り振る。

 欲求充足度を翻訳する共通トークンの仕組みが、「マルチバース世界」の経済循環を支える経済プラットフォームとなる。

    「マルチバース世界」では、 「リアル世界」の国家貨幣も、「情報世界」のアクセス数や評価も、「仮想世界」が発行したトークンも欲求充足度=共通トークンに翻訳して流通し、マルチバース世界や個人の仕組みや行動を調整する「欲求充足経済」を展開する。

欲求充足経済:
 「マルチバース世界」にまたがり、欲求充足度を共通トークンに翻訳して流通し、ヒトの欲求の全体最適を求める経済。
 多元世界の経済が絡み合い、主従を変え、経済ネットワークを多重にはりめぐらし、その形を変え続ける。


●新たな同族集団の誕生

 自らの意思で選んで参加する世界が、参加している者たちの全体的意識と固有の文化を構築する。

「集団が保有する文化は集団毎に異なり、それを維持することが集団にとって有利となることから同族・民族意識がうまれる。」

 「リアル世界」の国家や地域、「情報世界」の舞台創造と閲覧の仕組み、個々の仮想世界が「仮想国家」となり異なる文化を形成していく。

 物理と仮想、論理と暗黙知、線形と非線形を自身の都合に合わせて自由に切り替え、それぞれが形づくる自然、地域、有機的共同、美意識、思想、新たな同族文化を構築して「マルチバース世界」に記憶する

集団、文化、ヒトの共進化:
 文化とヒト、集団規模とコミュニケーションの相互作用が編む共進化のサイクルが集団に優位な文化をうみ、集団の規模を拡大し、新しい文化の創造がコミュニケーション能力を高め、文化とヒトの共進化を加速する。

 2021年、ヒトは交通と通信のインフラの発展により物理空間の距離を超えてコミュニケーションすることにより、グローバルな文化を形成した。

 2050年、ヒトは自身の興味によって「マルチバース世界」を切り替えてコミュニケーションすることにより所属する集団を多元世界へと広げ、新たな文化とヒトの共進化を加速する。

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参考書籍:
[1] 落合陽一(2018), "デジタルネイチャー : 生態系を為す汎神化した計算機による侘と寂
", PLANETS/第二次惑星開発委員会
[2] 佐藤航陽(2017), "お金2.0 :新しい経済のルールと生き方", 幻冬舎[3] 佐藤航陽(2017), "お金2.0 :新しい経済のルールと生き方", 幻冬舎
[3] モリス・バーマン(2019), "デカルトからベイトソンへ :世界の再魔術化", 柴田元幸訳, 文藝春秋
Morris Berman(1981), "The Reenchantment of the World", Comell University Press.


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「仮想世界経済」の誕生

-- 30年後の未来を読み解く第三弾 :物語を紡ぐ(準備編) --

 我々が常識と考えている科学も、論理的な思考法も、経済も、ここ数百年のできごとにすぎない。我々は、常識にとらわれやすく、かつその常識をいとも簡単に塗り替えてしまう。

 ゲームや一部のマニアのためと考えられていた「仮想世界」が、「リアル世界」の生活や仕事の一部となろうとしている。

 2021年10月28日Facebookは社名を「メタ」に変え、ビジネス向けの「仮想世界」構築に本腰をいれることを宣言した。ヒトのコミュニケーション空間は、「リアル世界」「情報世界」に続く「仮想世界(メタバース)」によって多次元空間へと広がっていく。

  本節では、「課題設定」「アイデア編集」「コンセプト編集」というアイデアプロセッシングの手順を崩して、直感により設定した課題(仮説)にいたる物語を紡いでみる。


●課題設定

 「仮想世界」の経済コミュニケーションを循環させる

●背景

 歴史が大きく転換するとき、推進力となってきた文化の前に【巨大な壁】が立ちはだかる。【巨大な壁】の内側では、ネットワークが広がりプラットフォームをつくり、次の時代に向けた準備を進める。本書で扱う文化とは、ヒトが自身の能力をアウトソースするための次世代に向けた記憶であり、本節では主に資本主義経済とそれをささえる仕組みや技術・知識、中央集権で統治する国家のあり方、社会習慣・規範を指す。

◯グローバル資本主義社会にたちはだかる
【巨大な壁】


 交通・通信インフラの進化がヒト・モノ・情報(知恵)の交換を高速化し、グローバル資本主義の裾野を大幅に広げる。安価な労働力を求めて業務プロセスを分断・断片化し、労働力を世界に分業して再編集するオフショアを進め、新興国と先進各国の賃金がフラット化に向かう。新興国が先進国のパイを奪い大きく躍進し、2021年のGDP順位は米国、中国、日本、ドイツ、英国、インドとなる。グローバル化とフラット化は、今後ますます広がっていく。

 資本主義企業は先頭をきって特許を取得して、当該分野での収益の独占を狙うのが定石だ。インターネットが、無料化、オープン化というカルチャーを生み出し、すべての常識を破壊してマネーゲーゲームの余剰資金を吸い上げる

※消費経済を大きく上回る資産経済(お金がお金を生む経済)
 1割の消費経済の上に9割の資産経済が乗り、それが生む余剰資金がオープン化、無料化ビジネスを支える。

 Googleは先進サービスを次々と無料で提供し、Amazonは送料無料で翌日配信という信じられないビジネスを展開する。無料・オープンというビジネスの流れは、技術を囲い込む戦略を破壊する。そしてオフショアもまた、技術の囲い込みを困難にする。

 2000年と2021年の世界時価総額ランキングは次の通りだ。

世界時価総額ランキング【2000年】
 1位 ゼネラル・エレクトリック:総合電気
 2位 エクソンモービル:総合エネルギー
 3位 ファイザー:医薬品
 4位 シスコシステムズ:コンピュータネットワーク
 5位 シティグループ:金融
 6位 ウォルマート:スーパーマーケット

世界時価総額ランキング【2000年】
 1位 マイクロソフト: ソフトウェア
 2位 アップル: デジタル家電
 3位 サウジアラムコ: 石油
 4位 アルファベット(Google): インターネットサービスなど
 5位 アマゾン: 電子商取引、クラウドなど
 6位 メタ・プラットフォームズ(Facebook): インターネットサービスなど

 インターネット以降に成長したGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)が上位をしめる。


○【巨大な壁】壁の内側で広がるネットワーク

 地上に張り巡らされたインフラが、グローバル企業を支える。古いインフラをプラットフォームとして、仮想ネットワークが構築され、中央集権から自律分散へと移行する

 通貨のプラットフォームの上に構築されたクレジットカードやプリペイドマネーが、物理的なマネーを仮想化させる。金融商品の仮想ネットワークが広がり新しい信用取引をネットワーク上に重ね、不定期にサブプライムローンなどの恐慌をくりかえしながら金融ネットワークを複雑化し続ける。

 インターネット上にWebリンクネットワークが網の目のように広がり、その上にGoogleの検索エンジンがキーワードをベースとしたメタリンクを張り巡らす。Webをベースとして複数のアプリケーションが構築され、舞台創造と閲覧の仕組みの上で書籍、場所、音楽、絵、ファイル、生活などの物理的な文化をデジタル化して多次元につなぐ

すべてが複雑に張り巡らされたデジタルネットワークの上に乗り、リアルなモノやマネーの価値を見直す必要にせまられる。

○【巨大な壁】に【突破口】をうがつ

 資本主義の【巨大な壁】を前にして、【壁】をつきやぶる様々なトライアルが繰り返される。

 セカンドライフ(2003年〜)が実現した仮想世界は、土地(=処理能力)に裏打ちされたリンデンドルを発行し、ゲーム内での服、家具、建物、武器や音楽などのアイテムをつくって販売する仮想経済を巡回させる。リアルビジネスの広告としてイベントを開催し、リンデンドルとアメリカドルの取引相場を公開して人工的な経済と現実の経済をつなぐことに成功したが、スマートフォンにおけるnewtonのように早すぎるトライアルとなる。セカンドライフがつくりだした文化は、フォートナイト、集まれ動物の森、VRChatなどのトライアルへと引き継がれていく。

 賃金の低下をきっかけとする、フリマなどの物々交換ネットワーク、所有物を共有したり貸し借りをするシェアリングエコノミー、一定期間利用料を支払うサブスクリプションがモノの消費によらない文化をつくり、Uber Eatsがヒトを商品として流通させる。

 分散した演算ネットワークによって監視される仮想通貨が、演算サーバの拡張と継続的な投資の仕組みによって中央集権によらない通貨の発行と利用を実現する。仮想通貨の仕組みは、希少価値や芸術価値をもつデジタルアイテムの信用取引をも可能とする。

 ディセントラランド(Decentraland)は、仮想通貨イーサリアムをベースとするトークン(Mana)を利用するメタバースであり、仮想空間内のアイテムをNFT(Non Fungible Token)でつくられ、デジタル絵画や所有権を取引するNFTマーケットで売買できる。仮想通貨による複数のゲームとの提携も進んでいる。

 そして、コロナ禍がリアル空間のコミュニケーションに小さな穴を開ける。物理的なつながりが困難になった世界で、世界中の子供から大人までが、オンラインの授業や会議、会食を体験する。コンピュータに慣れないものたちが、オンライン会議に参加する壁がいっきに緩和される。子供にころの体験が、未来社会の構築に大きな影響をを与える。コロナ禍が過ぎたあとにリアルのコミュニケーションにもどる一方で、在宅勤務が見直され、ワークライフバランスの名のもとにオンラインコミュニケーションを積極的にとりいれる企業が増えていく。

 Facebook社が「メタ」に社名を変更し、Microsoft、ディズニーや多数のスタートアップが企業用・娯楽用のメタバース・ビジネスに参入する。

 リモート会議、テレワーク、スマートシティ、VRゲーム、スマートグラス。【巨大な壁】前で複数の変化が蓄積して小さな穴を拡大し、いっきに壁をつきやぶる。


●メタネイティブの時代

○メタネイティブへの変化

「リアル世界」を軸足とするVR/ARのトライアルがメタネイティブ世代をつくり、「仮想世界」への足がかりとなる。

 VRゴーグル価格の低下、VR/AR開発プラットフォームの普及をバックボーンとして幻想世界を実体験できるキラーアプリが登場し、多人数型VRゲーム世界に長時間滞在するものたちが増加する。暗号通貨型ゲーム内トークンとスマートグラスの普及がマルチバースゲーム参加の敷居を下げて、仮想世界でのレクレーションをディズニーランドを越えるものとして一般化させる。

レディプレイヤー1

   映画「レディプレイヤー1」, タイ・シェリダンより

 リアル店舗に足を運ぶ必要のないVRショップもまた、メタバースの普及を後押しする。身長や体型を登録しておけば試着も可能だ。物理的な移動を必要としないため、1日で多数の店舗でショッピングできる。

 物理実験や、薬品候補の絞り込み、建築試験など費用と時間のかかる物理的な試験・実験を「仮想空間」にうつすことにより、「リアル空間」での費用と作業を大幅に短縮する。なにより、試験・実験の環境とデータをオープン化して共有することにより、技術の進歩が加速度的にアップする。

 メタバースの名のもとに始まったオフィスワークの仮想化が、ワーキングスタイルの一つとして定着していく。物理的なオフィスを持たず、「仮想世界」だけで雇用する企業も年々増え続ける。現実世界での対話が重要だと考える旧世代を尻目に、メタネィティブたちは「仮想空間」でのコミュニケーションに抵抗はなくむしろその効率性を最大限に活用する。

○メタネイティブたちの時代

 学生時代にインターネットを利用したデジタルネイティブが40代をむかえ、小中学校からスマートフォンとSNSを使い、時間の多くを「情報世界」と「仮想世界」に生きるメタネイティブたちの時代

世界規模でフラット化に向かう資本主義社会が、先進各国の低賃金化を加速する。

 ロボットなどによる業務の自動化が、衣食住を限界まで低コスト化する。ベーシックインカムなどの収入により、ベッドと机、AR・VR操作や運動をするスペースがあれば快適にすごす衣類と栄養のある食事を獲得できる。情報も知識も「情報世界」から低価格で取得可能だ。

低賃金化と低コスト化は、「リアル世界」を消費低迷へと導く。

 業務の自動化は、24時間時分割マルチタスクで業務をこなすスーパーエリートと、最低限の衣食住を獲得するために働くベースワーカーとに2極化させる。

そして、

メタネイティブたちのライフスタイル:
 『生きがいや、レクレーションや、贅沢は「仮想世界」で!』

というライフスタイルが誕生する。

 「リアル世界」は、「情報世界」と「仮想世界」へのインタフェースの提供を余儀なくされ、リアルの店舗や銀行がなくなり、生活と仕事の主体が「情報世界」と「仮想世界」が提供するプラットフォームへと移行して、表裏を混在、逆転させていく。

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参考書籍:
[1] 落合陽一(2018), "デジタルネイチャー : 生態系を為す汎神化した計算機による侘と寂
", PLANETS/第二次惑星開発委員会
[2] 佐藤航陽(2017), "お金2.0 :新しい経済のルールと生き方", 幻冬舎
[3] モリス・バーマン(2019), "デカルトからベイトソンへ :世界の再魔術化", 柴田元幸訳, 文藝春秋
Morris Berman(1981), "The Reenchantment of the World", Comell University Press.


非線形思考を描く筆とパレット:メタプロセッシング

 -- 30年後の未来を読み解く第二弾:コンセプト編集 --

 印刷時代の末期を迎え、スタートからゴールまでシーケンシャルに論理を並べる思考法が変わりつつある。

時分割マルチタスク思考:
『コンテンツを分節・断片化して時分割マルチタスクで瞬時に情報を判断・選別して記憶し、同時並行的に切り替えながら、ごく短時間の非線形な論理を働かせて思考する』

 浅い思考のモノたちが、「情報世界」をパートナーとした独自の思考方法を身につけていく。

 直感と仮説によりゴール近傍にあたりをつけてスタートして、ゴール周辺を縦横無尽に行き来しながらしだいにゴールのイメージを形づくる非線形な思考法だ。本書で示した「アイデアプロセッシング」も同様の思考法により断片化と編集を繰り返してアイデアを組み立てる。分節・断片化と統合・編集を「情報世界」にアウトソースする方法について考えてみよう。

非線形な思考


●背景:ヒトの思考の組み立て方[4]

 ヒトは外界や体内の状況を低次の皮質で分節化して「イメージの断片」としてとらえ、「連合」皮質と低次の皮質の相互作用により「イメージの断片」を統合・編集して「全体イメージ」を構築する。並行して「全体イメージ」を言葉に翻訳して「物語」を組み立て「意味」としてとらえて「思考」する

ヒトの思考法x

          ヒトの思考の組み立て方

 事象を分節・断片化し統合・編集して「全体イメージ」と物語を組み立てて情報圧縮する思考法は、複雑な自然環境の中でヒトが生存するために脳に組み込まれた基本的な仕組みだ。「物語」の組み立てには、錯視や錯覚、喩えなどの情報圧縮の仕組みも動員される

 「模倣」は、「ヒトー文化の共進化」における基本をなす能力だ。他者の残した文化を習得し、広め、教え、あらたな文化を生み出すためにヒトは「模倣」する。既存の文化を文節・断片化して、統合・編集して新しい文化を再構築する。

 「情報世界」は無限に増え続け、自然の膨大な情報に匹敵するものとなりつつある。そこではまずフィールド・ワークとも言うべき情報整理法が必要となる。集めた情報を素材として分節・断片化して整理し、グループ編集をして分類と階層化を行い、統合・編集して物語を構築する。野外工学、編集工学、情報統合学、アブダクションによる情報の整理が要求される。

●お題

 「情報世界」に「分節・断片化」と「統合・編集」をアウトソースして、ヒトと連携して思考する情報流通サービスを提案する。

○メタコンテンツ編集環境
 分節・断片化と統合・編集を時分割で繰り返す時分割マルチタスク思考を支援する「メタコンテンツ編集環境」を提案する。

○メタコンテンツの単位コンテンツ
 「メタコンテンツ編集環境」の前提となる、扱いやすい「単位コンテンツ」を提案する。

※「分節・断片化」と「統合・編集」
 前述したように、ヒトが創造する際の基本的な能力のこと。単に他人のもの分解して組み立て直すわけではない。アインシュタインも、ベートーベンも、ピカソの創造過程も「分節・断片化」と「統合・編集」。他者に作品や人と対話しながら、自分なりに咀嚼して、新しい作品を創造するということ。

※メタコンテンツ:
 
 もととなるコンテンツを分節・断片化して抽出した単位コンテンツを統合・編集して生成するコンテンツ

●材料・素材

○前提

・インターネットの通信速度とコンピュータの処理能力が大幅に高速化するが、それ以上にコンテンツ量が爆発的に増大する。
・「リアル世界」でのグローバル経済の拡大、各国所得の平準化、世帯収入の低下、基本的な生活のためのコストの低下、余暇の増加により「情報世界」への依存度がいっそう高まる
・学校や職場など必要にせまられたときをのぞいて、印刷された書籍をほとんど読まなくなる
・シーケンシャルに論理を重ねる思考法から、非線形に断片・編集を繰り返す思考法に変わっていく

○想定するプラットフォーム

 とりあえずインターネット&Web、前述のコネクティブ・ブレインを想定

○情報ブロック(単位コンテンツの呼称)

 コンテンツの分節・断片化を標準化する情報単位

情報ブロック:
・デジタルネイティブにとって、集中して作成、閲覧できる情報量のコンテンツの単位

・コンテンツとして意味をなす程度に分節・分断化する
 - 1段落のテキスト
 - 1カットの図、挿絵、動画
 - 1フレーズの音楽
・作者・著作権、編集者をネスティングして引き継がれ、参照できる


●アイデア編集:

○アイデアをクレームで表現する

ネーム(呼称): メタプロセッシング
クレーム(短文):
 ヒトの分節・断片化と統合・編集による非線形な時分割マルチタスク思考を、情報ブロックを単位とするメタコンテンツ編集手段としてアウトソースする。


●コンセプト編集

○着想:ヒトの思考法を「情報世界」にアウトソースする

 ヒトの「分節・断片化」、「統合・編集」という能力を「情報世界」にアウトソースする。

分節・断片化: 情報ブロックの生成
統合・編集: 情報ブロックの編集によるメタコンテンツの作成

ヒトの思考をアウトソースする

        ヒトの思考法をアウトソースする

○6W1Hで表現する

いつ(When): (メタ)コンテンツの執筆を思い立ったときに
どこで(Where): 「情報世界」上で
誰が(Who): 私が
誰に(Whom): 「情報世界」の住人に
何をする(What): 「情報ブロック」を統合・編集して(メタ)コンテンツを作成、公開する
なぜ(Why): 自分の「考え」を伝えるため
どのように(How): 「情報ブロック」を切り貼り、組み替え、加筆、修正して

○ミクロ・マクロ・ネットワークで表現する

■構成要素:
ミクロ: 情報ブロック、思考の断片
コミュニケーション: 情報ブロックの選択、配置、接続、再利用
マクロ: メタコンテンツ=情報ブロックの集合で構成されるコンテンツ
メタ・ネットワーク: メタコンテンツ内の情報ブロックの再利用(引用)による情報ブロックの経済
環境: ヒトが暮らすリアル世界、情報世界、仮想世界
技術・社会背景: 書籍を読まないヒトが増え、論理的でシーケンシャルな思考が困難となる

■ネットワークの特性:
多次元性・多重所属: 人気のある情報ブロックは複数のメタコンテンツに多重帰属する
適応・動的特性: ヒトが暮らす環境の変化や興味の変化に適応して、情報ブロックが選ばれ、再利用され、物語を形成して次世代に文化として引き継がれる
フィードバック・ループ: メタコンテンツにヒトによって選ばれた情報ブロックが集まり、それを閲覧したヒトが再び情報ブロックを再利用してメタコンテンツの生成を繰り返す
可塑性と学習: メタコンテンツに情報ブロックの再利用と統合・編集の記憶が蓄積、継承される。閲覧されるほど、再利用されるほどその記憶は強まり、アクセスされないものは忘れ去られ消えていく
恒常性・保守性: 新しく作られた情報ブロック、メタコンテンツは、アクセスの機会を得難く、生き残りにくい。


●コンセプトの具体化(言葉で表現する)

 情報ブロックを単位として作成された既存のコンテンツから使える情報ブロックを借用して修正、自身の情報ブロックを追加しつつ「分節・断片化」と「統合・編集」を繰り返しながら新たなメタコンテンツを作成することを支援する情報流通サービス。


●製品具体化のヒント

 メタプロセッシングの最終イメージをテキストで説明することは、なかなか難しい。それまでの斬新的な歩みを具体化のヒントとして提示する。

 その実現のプロセスは、アラン・ケイのような時のアーティストが現れるまでのあいだは、複数の漸進的なトライアンドエラーという形で進められ、それぞれが使われていくうちに、情報ブロックやメタ編集環境の標準化が進められて、あるとき突然に複数のサービスと考えられていたものが一つのサービスへと統合されていく。

○情報ブロック:要件

コンテンツ: 最小単位のコンテンツ(テキスト、画像、動画)を記述できる
処理: コンテンツを表示・再生・編集、認証するためのマイクロプロセスを有する
配置: メタコンテンツ上での配置(位置)情報をもつ
リンク: 情報ブロックどうしをリンクでつなげて関係を表現できる
来歴: 再利用する毎にネスティングした作者、著作権、編集者、編集権の履歴をもつ
利用料: 必要に応じて利用料を徴収するための処理を有する

○環境合わせた表現をもつ情報ブロック

 1つの情報ブロックは複数の環境で利用でき、その環境に合わせて表現形を変化させる。例えば、

 個人情報ブロックは、店の会員登録、免許証の申請、履歴書、SNSプロフィール、決済、社員カードの認証など配置される環境と用途に合わせて表情と表現を変える。

 メモブロックは、手書きメモや音声メモの書き込みアプリとしても、メモを冷蔵庫に貼り付けたり、ブログへの挿入したり、メッセージを伝達することもできるし、配置される環境と用途に合わせてテキスト表示、音声で読み上げ、他言語翻訳を切り替える。

○アプリ=情報ブロックのキャンバス

 アプリケーションは複数の情報ブロックを組み立てて構築されるキャンバスとなる。すべての機能=情報ブロックのインタフェースは公開される。検索ブロックをより高性能なモノに変えることもできるし、ワープロと描画アプリを組み合わせて独自の執筆環境を構築することも可能だ。

参考: 
HyperCard、ゲームのMOD(後述、情報ブロック職人を参照)

○メタライティングSNS

 ブログ環境のnoteは、かなりいい線をいっている。ブログ、youtube、twitter、amazonのURLを貼り付けるだけで、コンテンツを表示して、ドラッグ&ドロップで絵を貼り付けることもできる。初期のメタライティング環境は、アプリや執筆環境を横断してドラッグ&ドロップで利用できるようにするところから始まる。

参考: noteWeb-API

○DIYプログラミング

 なぜパソコンを買ってすぐに自分の好みのアプリを簡単に構築できないのだろう。CDの整理や、授業の、理科実験のシミュレーション、スマートホームのコントロールなどなど。最初から搭載されているアプリや公開されているアプリから情報ブロックを拝借して、ちょいちょいといじれば自分のアプリをDIYできる

 「リアル世界」のモノたちは、それを使うためのアプリケーション・インタフェースを「情報世界」に提供することが必須となり、そうでなければ生き残れない。「情報世界」も「リアル」も含めて、ちょいちょいでコントロール!。LEGOブロックのように、自由に独自の表現を描くことができる。

参考: HyperCard, Web-APIマッシュアップマイクロサービスScrach,  LEGOアイアンマン2

○情報ブロック職人

 アプリケーションが情報ブロックで構成され、アプリケーション・インタフェースが公開されるようになると、各機能はもちろん画面表現、操作など本家を越える秀逸な大小の作品をつくる「情報ブロック職人」が登場する。

参考: この分野ではPCゲームのMOD(modification)が先行する。特にベセスダソフトワークスから発売されているフォールアウトスカイリムでは、キャラクターの外見変更、高精細グラフィック化、操作改善、バグフィックス、新たなスキル、武器、装置、敵、だけでなくゲームデザインを変更するものまで、大小数々の秀逸なMODを個人が作成し公開している。

○プログラミングアーティスト

 プログラムに論理的思考が必須な時代は衰退していく。プログラムの論理部分はLSIのようにパッケージ化されて特殊なものとなっていく。芸術的な感性をもったものが、筆を使って情報ブロックを選んで、キャンパスにバランスよく配置していくとアプリケーションが描かれる

 専門知識がなくても、複数の情報ブロックの組み合わせをAIがサポートする。

 少なくともHyperCardがMacに搭載されていた時代には、子供や主婦やデザイナー、学生や教師が気楽にアプリを楽しく描いていた。30年たった今、その後継者とんるものはない。

○直感や、仮説から始まる業務プロセス

 直感や仮説からはじめてまず行動する、見て、調べ、尋ね、質問し、反論し、飛び込んで、メモをつくり、ブックマークして、並行して断片化した熟慮をバックグラウンドで働かせて監視・評価し、修正・編集しながら前進し続ける。

 新しい思考やビジネス手法をアウトソースするための手順と支援が必要だ。

○メタプロセッシング

 「アウトラインプロセッサ」、「メタライティングSNS」、「DIYプログラミング」、「マルチメディアオーサリング環境」を統合・編集した環境が提供される。つづいて、連想散策=コネクティブ・ブレインと賢いアレクサとマイノリティーリポートやアイアンマンのようなAR操作も合流する。

 複数の変革が、ヒトの考えをまとめ公開し、プロジェクトを進めるための新しい手段をめざすようになったとき、アプリケーションやプログラミングやライティングのために始まった変化が統合・編集されてメタプロセッサとなり、ヒトたちの関係にもとづく思考が伝播して広がり変革を加速する。

参考: HyperCard,  アイアンマン2マイノリティリポート

アイアンマンAR設計

                   映画「アイアンマン2」, トニー・スタークより

 メタプロセッシングは、ヒトの情報編集能力をアウトソースすることにより、「情報世界」に新たな文化を描く手段を提供する。描かれた文化は、分節化して再利用され、競争原理により選択されて環境変化に適応して急速に伝搬し、高速かつ動的に変化してゆく

 外部環境の変化に呼応して並行に置かれた情報ブロックどうしが互いに対話して調整しあい、最適解をもとめて変化する。

 ヒトー文化の共進化は、他者の思考の断片を共有するコミュニケーションを構築し、地球全体規模の思考の共有をうながし、やがて非言語による表現の共有という新たな文化進化のステージにむかってゆく。

参考書籍:
[1] 松岡正剛(2001), "知の編集工学", 朝日文庫
[2] ジェイ・デイヴィッド・ポルター(1996), "ライティング スペース :電子テキスト時代のエクリチュール ", 黒崎正男, 下野正俊, 井古田理訳, 産業図書
Jay Favid Bolter(1991), "Writing Spase - The Computer, Hypertext, and the History of Writing - ", Lawrence Erlbaum Associates, Inc.
[3] テッド・ネルソン(1994), "リテラリーマシン :ハイパーテキスト原論",竹内郁夫, 斉藤康己監訳, ハイテクノロジ―・コミュニケーションズ訳 , アスキー出版局
- Theodor Holm Nelson(1987), "Literary Machines", Published by author
[4] アントニオ・ダマシオ(2019), "進化の意外な順序", 高橋洋訳, 白揚社
- Antonio Damasio(2018), "The Strange Order of Things: Life, Feeling, and the Making of Cultures", Pantheon


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課題設定:次世代の思考を支援する

 -- 30年後の未来を読み解く第二弾:課題設定 --

 白板にむかって文字を書こうとしたときに、小学生レベルの漢字が書けなくなった経験をしたことはないだろうか。紙の上で書かなくなった習慣が、あれほど訓練した漢字の記憶を消し去ってしまった。ヒトはメディアに能力をアウトソースするとともに、自身の能力を失い続けてきた。

 そして今、「書く言葉」と活版印刷が構築してきたシーケンシャルに熟考する論理的な思考を手放しつつある。

●浅い思考のモノたち

 いつの間にか長い文章を書いたり、読んだりすることが苦手となってしまった。長時間、文章を読むことに集中できないのだ。グーテンベルクが起点となった「深い読み」の習慣は、学校での学びの経験と、一部の知的生産者だけのものとなろうとしている。ネット中毒、スマホ中毒が「注意欠陥障害」を生み、ヒトを高速データ処理機械に変え、浅い思考のモノたちを大量生産している。

 老人たちは人類誕生から繰り返して「最近の若いものは」と言い続け、それでも若者たちは新しい時代を切り開いてきた。今何が変わり、次にどこに向かおうとしているのか。


●「書く言葉」の時代

○「声の言葉」から「書く言葉」への転換

 「声の言葉」から「書く言葉」への転換は、個人の記憶力と表現力を減衰させながら「言葉」のあり方と語彙を増やし、それを使うための思考法を変えた。

 自然環境を文字への置換と文字から脳内のイメージに置きかえるための努力が、ヒトの論理的思考を育てる。文字を書いていないときにも、曖昧性を排除して捨象し、シーケンシャルに論理的に書き留める回りくどい思考法を定着させ、新たな哲学・数学・科学を、教育制度を、新たな発見と創造を生み出し続ける。
 
 活版印刷が集団に空間と時間を超えて深く吟味して記憶する文化をつくり、集団で修正して編集するコミュニケーション能力を与える。

〇「情報世界」に「書く言葉」をうつす

 20世紀末には、融通の利かないコンピュータに語り掛ける言葉=プログラミングの言葉を構築する。人工的な共通言語は流行により複数登場するものの、世界中のプログラマが同じ言語を使って新しい文化を交換する。

 シーケンシャルに論理的かつ厳密な記述を要求する書く言葉の記憶は、その回りくどい記述方法がゆえに膨大なものとなり、それを扱うために分業に分業を重ね専業文化して文字の記憶を重ね続け、ついにコンピュータのネットワークを使って「情報世界」にそれをうつす。

 そしてヒトは、その膨大な記憶の波に溺れそうになりながら脳内ネットワークを再構築し続ける。誕生後まもなくふりそそぐ情報の嵐のなかで育つ新世代には、さらなる適応進化が始まっている。


●「情報世界」で生きる

○断片化するコンテンツと注意力

 1ショットのつぶやき、断片化された動画、表現未満のコンテンツが瞬間的なインパクトを求めて放出される。ワンクリックの「いいね!」、リツイート(引用再掲)が飛び交い。家族や友人に気が向いたときにショートメッセージとスタンプを交換し、感情のように即時性をもった言葉が「情報世界」をかけめぐる。

 高速に処理できるものを好んで選び、コンテンツのさらなる断片化を進め、ヒトの思考とコンテンツの断片化が互いに影響を与えながら変化する。感情のように即時性をもった言葉が「情報世界」をかけめぐる。

 ヒトのコミュニケーションは受け取ったメッセージに感情が先行し、やや遅れて論理的思考が解釈を重ねる。断片化したコンテンツの世界では、感情から思考に切り替わる瞬間に次のコンテンツに切り替わり、思考の欠片だけが残像として記憶される。

〇時を分割して高速に思考を切り替える
(時分割マルチタスキング)

 TVを聞きながらYoutubeを眺め、TVを時々見て、オートでゲームをする。動画音楽を視聴しながら、テキストを書き、つど検索し、メールや挿入されるニュース・CMを眺め、相場を確認しながら、Lineの割り込みを処理する。テレビ、スマホ、PCやパッドを次々と切り替えて利用する。

 「情報世界」のサービスたちがヒトの有限時間を奪い合い、視聴覚を中心に情報の嵐が降り注ぐ。ヒトの脳はそれに応え、時を分割して切り替え、感情回路を使って瞬時に判断・選別して記憶し、同時並行的に切り替えながら、極短時間の論理を働かせて思考する。生態による時分割のマルチタスク処理だ。

 長いコンテンツを読む際にも、「情報世界」のコンテンツ散策と同様の速読法を使う。「F」字に読み飛ばして、直感で重点箇所を見きわめ断片化し、高速で浅い理解とともに探索を進める。

 常に作業の中断を、新しい情報の取得を求めるようになり、割り込みを積極的に受け容れ、短期にメディアとコンテンツを切り替えながら思考する。


●閑話:複雑系を読み解く思考法

 課題設定の前に、柔軟体操をしてみよう。

 100年後のヒトが脳力を外界にアウトソースして、どのような思考方法を得ようとしているのかを仮説してみる。現在獲得しようとしている思考法のベクトルを延長して、直感でヒトの思考の変化をとらえる。SFなどを参考にしてみるのもいいだろう。

現状:
 ヒトは、膨大な記憶を「情報世界」にアウトソースし、コンテンツを分節・断片化する時分割マルチタスク思考を獲得しようとしている。

100年後: 同時発生する複雑な情報を読み解く並列思考法の獲得
・関連する複数の情報を主観なくインプットして、瞑想により情報を整理して解を得る科学的な思考法が開発される(ディープラーニングのように、解に到達する道筋はわからず結果だけが導きだされる)[4]

・非リニアな文字に思考をアウトソースし、過去・現在・未来を同時に知覚して思考する。事象の逐次認識から同時認識へ[5]

・複雑な因果関係に支配される事象を今おきていることとして読み解き、未来を予測しながら行動する[6]

・プロセス、形、関係による循環系を全体論としてとらえて思考する[7]

 未来の予測の正否は問題ではない。現状から直感してありそうな遠い未来を仮説してみると、現在との延長線をメタファーのような道具として利用できる。


●課題設定

時分割マルチタスク思考:
 『コンテンツを分節・断片化して時分割マルチタスクで瞬時に情報を判断・選別して記憶し、同時並行的に切り替えながら、ごく短時間の非線形な論理を働かせて思考する』

 新しい時代のヒトの思考法とコミュニケーションを支援する道具を提案する。

課題設定:
○メタコンテンツ編集環境

 分節・断片化と統合・編集を時分割で繰り返す時分割マルチタスク思考を支援する「メタコンテンツ編集環境」を提案する。

○メタコンテンツの単位コンテンツ
 「メタコンテンツ編集環境」の前提となる、扱いやすい「単位コンテンツ」を提案する。



参考書籍:
[1] ニコラス・G・カー(2010), "ネット・バカ :インターネットがわたしたちの脳にしていること", 篠儀直子, 青土社
[2] M.マクルーハン(1986), "グーテンベルクの銀河系 :哲学人間の形成", 森常治訳, みすず書房
Marshall McLuhan(1962), "The Gutenberg Galaxy: The Making of Typographic Man", University of Toronto Press
[3] 石田英敬, 東浩紀(2019),"新記号論 :脳とメディアが出会うとき", ゲンロン
[4] 水樹和佳(1980), "樹魔", 集英社
[5] テッド・チャン(2003), "あなたの人生の物語", 浅倉久志他訳, 早川文庫
[6] 高野和明(2011), "ジェノサイド", 角川書店
[7] モリス・バーマン(2019), "デカルトからベイトソンへ :世界の再魔術化", 柴田元幸訳, 文藝春秋
Morris Berman(1981), "The Reenchantment of the World", Comell University Press.


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佐藤基

Author:佐藤基
『フューチャー・リテラシー -- 過去・現在・未来、複雑系の未来を読み解く』
を執筆中。

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