道具との共進化への道(2):弱点だらけの草原進出

●家族、二足歩行、チャレンジ精神、コミュニティの共進化


 ゆっくりと乾燥に向かう熱帯雨林において果物や木の実などが減り、森で食物を獲得することが難しくなり、森林での食物獲得競争が激化する。長期の乾期を生きるものたちにとっては、なおさら果物の獲得が困難になってゆく。


 440万年前、果物の獲得量が減少する時代での生存戦略として、一人の妻と少人数の家族を養って子孫を残すという選択をしたラミダスは、特定の妻と子を守り確実に自身の子を残すという戦略のもと、強靱な体や犬歯をもったものよりも食物の採集能力をもったものがより多くの子孫を残すこととなる。


 やがて、住処からはなれた木々から、そして地面を越えた先にある森林から果物を採取するため、両手でかかえて果物を持ち帰るものたちが現れる。両手で果物をかかえて持ち移動し、地面に置き、またかかえて移動する。その繰り返しの中で、二足歩行を活用してより多くの食料を運ぶことができるものたちの子孫が増え、直立二足歩行をより確実にしていった。そして、370万年前にはサバンナ化が進むが、季節によって茂る疎林や、川辺に残る森などが湿在する環境において、居住地から草原に進出し、豆や草の種、葉や茎のほか、地中の根や球根、昆虫、動物の腐肉など、さまざまな食べ物にチャレンジしてゆく。


 それにしても、食物の採集を優先し、強靱な体を捨て、足の遅い直立二足歩行を選択し、草原に進出をめざすとはずいぶん無謀な選択をしたもので、早々に絶滅してしまっても不思議はなかった。草原に出ることで肉食獣に襲われる危険が増え、二足歩行で目立つにもかかわらず、足が遅く戦うこともできない。ヒトの草原への進出は、複数の家族が集まって数十人の集団で行動するというコミュニティとコミュニケーションとの共進化とともに100万年以上の長いときをかけて徐々に進められていったのだった


「フューチャー・リテラシー インデックス」


参考書籍:

[1] NHKスペシャル「人類誕生」制作班(2018), "NHK スペシャル 人類誕生", 馬場悠男監修, 学研プラス

[2] NHKスペシャル「人類誕生」制作班(2018), "大逆転! 奇跡の人類史", 馬場悠男, 海部陽介監修, NHK出版

[3] 松沢哲郎(2018), "分かち合う心の進化", 岩波書店



tag : フューチャーリテラシ、美意識、人類誕生、ネットワー

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佐藤基

Author:佐藤基
『フューチャー・リテラシー -- 過去・現在・未来、複雑系の未来を読み解く』
を執筆中。

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