道具との共進化への道(5):ヒトと道具が紡ぐメタ進化

 ヒトは「道具」を創造・改良し次世代に伝えられて「文化、習慣」を形成する。ヒトは、子供から大人に成長するにつれて「道具、文化、習慣」を習得し、より良く使える遺伝子を持ったものが優位となる。そして、ヒトと「道具」は、共進化していく。


●ヒトと道具が紡ぐメタ進化[1]


「石器」は「牙」をアウトソースする。

 死体の皮を切り裂き、固い骨から滋養に富んだ骨髄を手に入れ、地中からは炭水化物の豊富な芋を掘り、木の実を砕き、滋養に富んだ栄養を確保する。「石器」の利用は、犬歯を縮小し、手先の器用なもの、多彩な活用方法を生み出したものを優位にした。


「衣類」は「体毛」をアウトソースする。

 長距離走で獲物を追い詰める際の発汗のため「縮小した体毛」を補い、寒暖の変化に「服を着替える」ことにより臨機応変に対応できる。「衣類」の利用は、巨大化した「脳」を冷却するためさらに体毛を縮小し、太陽光の強弱に皮膚の色素で対応するものを優位にした。


「火」は「消化器」をアウトソースする[2]

 繊維質で筋がある肉を柔らかくし、芋や実の加熱調理により食べる量を増やし、栄養を吸収しやすくする。有毒な植物の毒を消し、寄生虫や菌を退治し、肉食動物を遠ざけ、極寒の季節に暖を提供する魔法まで備えている。「火」の利用は、犬歯と顎の筋肉と消化器を縮小し、毒や菌に対する抵抗力を弱め、吸収した豊富な栄養を使って周囲の環境変化にうまく対処できるよう「脳」を進化させたものを優位にした。さらに、火を保持する場所で共同体がひとつにまとまって食事をし、社会性を強化し、「コミュニケーション」能力を高めたものを優位にした。


「言葉」は「知性と論理」をアウトソースする[3]

 内外情報や「感情」、「愛情」、「創造と美意識」「知性と論理」「記憶」を統合・翻訳・編集・フィードバックし、対処を判断し、フィードバックするための手段を提供する。「言葉」は、「知性と論理」の思考様式を提供し、世代を超えて記憶し、大人から子供へ受け継がれ、また「言葉」を利用するものによって「再構築」し、他者とのコミュニケーションにより「改良」する。「言葉」の利用は、本能による瞬時の行動に割り込み遅延をもたらすが、舌、顎、喉頭、気道の利用をチューニングし、「知性と論理」により適当な行動を選択する、「感情」、「愛情」、「創造と美意識」「記憶」そして「知性と論理」をも「知性と論理」により適当にコントロールする「脳」を進化させたものを優位にした


 やがて「道具」は20万年前ホモ・サピエンスという器をつくった。6万年前にアフリカから世界各地に広がったその時、「道具」と「脳」の連鎖の爆発により想像力と創造力を開花したを「ヒトと道具の共進化は、互いに影響を及ぼし合いながら、驚異的な適応速度を獲得し、現代、そして未来につながるメタ進化の道を紡いでゆく


フューチャー・リテラシー:インデックス

考えるって、どういうこと?

「コミュニケーション」とともに進化する「言葉」


参考書籍:

[1] ジャレド・ダイアモンド(2015), "若い読者のための第三のチンパンジー :人間という動物の進化と未来", 秋山勝訳, 草思社

[2] リチャード・ランガム(2010), "火の賜物 :ヒトは料理で進化した", 依田卓巳訳, NTT出版株式会社

[3] アントニオ・ダマシオ(2019), "進化の意外な順序", 高橋洋訳, 白揚社


tag : フューチャーリテラシ, 複雑系, メディア, ネット, 未来, 共進化

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佐藤基

Author:佐藤基
『フューチャー・リテラシー -- 過去・現在・未来、複雑系の未来を読み解く』
を執筆中。

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